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yamato_42_2014_11   34 / 64

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厚生労働省では7月 11 日に幹部 の人事異動があったが、併せて保 険局に「医療介護連携担当」の審 議官と「医療介護連携政策課」が 新設された。先の国会で医療介護 総合確保推進法が成立し、医療と 介護の連携が最重要とされている ことに応える布陣である。 医療と介護との連携は、古くか ら課題とされてきた。旧厚生省の 組織の変遷がこれを物語っている。 1982年に制定された老人保健 法は、予防から治療・リハビリま での老人医療の確立を謳い、公衆 衛生局に老人保健部が設置された。 老人医療を所管する同部と福祉の 所管(社会局老人福祉課)が分離 した。その後、医療と福祉の連携 が求められ、1988年に両者を 統合した老人保健福祉部が大臣官 房に設置された。同部は1992 年に局に昇格(老人保健福祉局)し、 2001年に老健局に名称変更 されて今日に至っている。都道 府県でも、民生部、衛生部と縦 割りであった組織を保健福祉部 などとする同様の動きがあった ことは、周知のとおりだ。 しかし、地域医療計画の策定 にみられるように医療行政は都 道府県の任務とされる一方、介 護保険制度は市町村中心で組み 立てられている。さらに、医療 界と介護界の文化の差ともいう べき障壁があり、両者の連携は 成果が上がってこなかった。 医療と福祉の連携に困難があ るのは、わが国に限ったことで はない。筆者は 30 年ほど前にス ウェーデンに駐在したが、同国 では医療は県が、福祉は市町村 (コミューン)が担当しており、 両者の連携の悪さが問題となっ ていた。連携の促進のため、老 人ホーム(サービスハウス)と 老人病棟(長期入院病棟)を同 一建物の上下のフロアに合築し たが、それでも所管が異なるフ ロアに高齢者を移動するのは至難の業 だと職員が慨嘆する状況であった。医療 のプライマリケア部分を県からコミュ ーンに移管した、1992年のエーデル 改革は、スウェーデンにおけるこの課題 への処方箋であった。 翻ってわが国ではどうか。「社会保障 と税の一体改革」の枠組みでは、医療と 介護は、子ども・子育て、年金と並んで、 消費税財源を充当する社会保障4分野 として位置づけられた。しかし、昨年8 月の社会保障制度改革国民会議の報告 書では、「医療・介護サービスの一体改 革」が必要であるとされ、各論では「医 療・介護分野の改革」と両者は一括で記 述されている。 国民会議のメッセージは明確だ。「国 民皆保険の維持のためには、医療の在り 方そのものが変わらなければなら」ず、 医療提供体制の改革こそが最優先の課 題とする。「病院完結型」から「地域完 結型」の医療への転換、「上流」(高度 急性期・急性期医療)から、「下流」(慢 性期、維持期)までの医療と介護の切れ 目のない提供を求めている。住民の日常 生活圏域では医療と介護が手を携えて 「地域包括ケアシステム」を構築してい かなければならない。 国保随想 一般社団法人 医療介護福祉政策研究フォーラム 理事長 中村 秀一 厚労省の組織と変遷 医療と....の連携と課題